20.3.3 試験方法の適用
20.3.3.1 
安全のため、先ず最小の物質量で評価可能な試験を行うのが通常である。
20.3.3.2 衝撃および摩擦に対する感度の評価は、クラス1(火薬類)の評価に用いられる「シリーズ3試験」のひとつを使って行う。
20.3.3.3 熱安定性および発熱分解エネルギーは、適切な熱量測定法、例えば示差走査熱量測定法、断熱熱量測定法等により評価できる。これらの手法を使う際には、以下のいくつかの撹乱要因に注意を払う必要がある。
   ・ 混合物のサンプリングおよび試験。   
   ・ 試料ケースの材質も結果に影響を及ぼす。
   ・ 吸熱が発熱直前に先行する。
   ・ 成分の揮発は発熱性を低下させる(通常は密閉容器を使用)。
   ・ 空気が存在は、測定された分解エネルギーに決定的影響を及ぼす。
   ・ 反応成分と製品の比熱に大きな差がある場合。 
   ・DSCを使用する場合の昇温速度(通常2〜5K/min)。
DSCを使用する場合、発熱開始温度はピーク開始の最大傾斜点での接線とベースラインとの交点と定義されている。
20.3.3.4 着火の影響の評価については、開放状態あるいはわずかな密封状態で物質が激しい分解を示すかどうかを明確に判別できる方法であれば、どのような試験法でも良い。

20.4 分類手順
20.4.1 総則
20.4.1.1 
自己反応性物質ならびに有機過酸化物の分類のための原則はそれぞれ20.4.2と20.4.3に示されている(モデル規則の2.4.2.3.3項および2.5.3.3項も参照のこと)。
分類のための全体スキーム(フローチャート)は、図20.1(図2.5.1と同じ)に示されている。自己反応性物質ならびに有機過酸化物は、その危険度に基づいて7つのタイプに分類される。
それぞれがどのタイプに属するかを決定するためにフローチャート内のボックスに示されている特性、および分類の基本原則の追加要件で求められるその他の特性を測定する必要がある。
タイプは、タイプA(評価された荷姿での輸送は禁止)からタイプG(自己反応性物質あるいは有機過酸化物に対する規制から除外されるもの)の範囲にわたる。タイプBからFまでに分類されたものが、1個の容器に収納が認められる最大数量と直接関係してくる。
20.4.1.2 
自己反応性物質及び有機過酸化物は、実験室での試験で、爆轟、急速爆燃を起こす、あるいは密閉状態の加熱で激しい効果が見られる場合、爆発性を有しているとみなさなければならない。
20.4.1.3  自己促進分解温度(SADT)とは輸送に供せられる容器中の物質に自己促進分解が起こるおそれのある最低の環境温度と定義されている(モデル規則の2.5.3.4項を参照のこと)。SADTは以下の判定のために測定されなければならない。
   a) その物質は輸送中、温度管理を必要とするかどうか。
   b) その物質はタイプGの要件に適合するかどうかを判定する場合。
20.4.1.4 モデル規則1.2.1項の液体の定義に基づいて、その物質の物理的形状を決定しなければならない場合がある。
20.4.1.5 
ある物質を、適切な包括品名エントリーに割り当てるためには、「タイプ」、「形状」、ならびに「温度管理の必要有無」の決定が必要である。
20.4.3 有機過酸化物の分類へつづく